もし、あなたが土地の売却を検討しているのなら、以下のような考えを一度は持ったことありませんか?
・不動産業者に聞いてもわからない場合はどうすればいいんだろう
土地を売却するとなると、一般人には到底知らない専門知識を必要とする時が少なくありません。不動産業者ですら知らないこともしばしば。
特に複雑な問題が絡む土地を売却を検討する際は、不動産会社以外に弁護士や税理士といった士業の専門家に相談した方がいいケースがあります。
専門家への相談というと費用がかかるため躊躇しがちですが、自治体が主催する無料相談や各士業の協会による相談コーナー等を展開しています。
これらの公的な相談サービスを上手く使えば、無料または低コストで専門家に相談することも可能です。
そこでこの記事では、「土地売却の相談」について解説します。
不動産会社ばかりに頼らず、臨機応変に様々な専門家へ相談するといいでしょう。
売却をスムーズに行う上で、専門家からもらえるアドバイスは強力な力になってくれるはずです。
土地売却に関する税金の相談は税理士
この章では税理士への相談について解説します。
税理士は誰もが知っている「税金の専門家」です。
土地を売却した際、利益が出た場合など譲渡所得に対して所得税と住民税が課税されます。
土地の売却で節税メリットはあるのか、逆に大きなデメリットがないかを確認するために相談することをおススメします。
土地を売却した時に税理士へ相談する内容は以下になります。
- 節税の方法
- 税金が発生するか、その場合いくらになるか
所得税には控除及び軽減税率等があるため、税理士に相談すれば有効な節税手段について教えてくれます。
確定申告や税金に関する相談
土地売却では、売却後の確定申告で税理士に相談することが多いです。
確定申告は、多くの人にとって不慣れな作業となるため、申告書の書き方がそもそも分からないといった相談が良くあります。
また、土地売却では節税する方法がほとんどないため、なんとか節税できないかといった相談も多いです。
土地売却で税金が高くなってしまう理由としては、主に「取得費が不明のケースが多い」、「利用できる特例がない」の2つがあります。
取得費とは売却した土地の購入価額のことです。
通常は、購入当時の売買契約書から判別します。
取得費が不明の場合は、概算取得費(譲渡価額の5%のこと)を取得費として用いることになるため、税金が高く計算されてしまいます。
土地売却は税金が高くなりがちなので、税額や節税方法についての相談が良くあります。
税理士に相談するメリットと発生する費用
税理士に相談するメリットは、正確な知識を得ることができるという点です。
インターネットで調べた情報では良く分からなかった内容も、直接税理士に聞くとすぐに理解できるといったメリットもあります。
確定申告の書き方については、申告シーズン(毎年2/16~3/15)の直前に各自治体が無料相談を開催しています。
自治体の無料相談会では、地元の税理士が相談員となっていますので、対面で様々なことを聞くことが可能です。
また、土地売却の税金に関する相談は、直接税務署に聞きに行くのが一番間違いはありません。
例えば、「この測量費は譲渡費用となるのか?」とか、「この通帳の記録を取得費とみなして良いか?」等の相談は、税務署に直接確認することをオススメします。
税務署の窓口相談は、もちろん無料です。
さらに、税金に関する一般的な相談は、国税庁電話相談だと無料で聞くことも可能です。
突っ込んだ内容までは聞けませんが、制度の概要程度なら確認することができます。
ただし、国税庁電話相談では、具体的な詳しい質問に関して税務署に行くように指導されます。
最終的には税務署が一番間違いないので、税理士や国税庁電話相談でも解決できない場合には、税務署へ確認しに行きましょう。
土地売却に関する法律の相談は弁護士
この章では、弁護士への相談について解説します。
法律関係の問題解決は専門家である「弁護士」に相談するのが一番です。
弁護士は相談だけではなく、あなたの代理人として代わりに話や交渉をしてくれたりします。
離婚による財産分与や遺産分割に関する法律相談
離婚による財産分与や相続の遺産分割で裁判に発展しそうな可能性がある場合は、弁護士に相談します。
弁護士への相談となると、かなり深刻なレベルです。
財産分与とは、婚姻中に夫婦でともに築き上げた財産を、離婚の際に原則として50%ずつ分配することを指します。
遺産分割とは、相続人同士で財産を分け合うことです。
多くの場合、財産分与や遺産分割は自分たちで解決できますので、まずはお互いよく話し合って解決を目指すようにしてください。
それでも折り合いがつかない場合には、弁護士への相談ということになります。
弁護士に相談するメリットと費用
弁護士に相談するメリットは、最終的に裁判にもつれ込んでも、そのまま裁判も依頼できるという点です。
弁護士は士業の中でも最も相談料の時間単価が高く、簡単には相談できません。
弁護士相談の中で、一番リーズナブルで、かつ、誰でも利用できるのは、各県に設置されている弁護士会の相談サービスです。
弁護士会とは、各県の弁護士が所属している協会のことです。
法律に基づいて運営されているため、半分、公的な組織となっています。
弁護士会の相談サービスは、30分2,000円~5,000円です。
例えば東京都の弁護士会は5,000円で、千葉県の弁護士会は2,000円となっています。
借金返済にからむ土地売却の相談は司法書士
この章では、司法書士への相談について解説します。
司法書士は弁護士と同じく「法律の専門家」です。
司法書士は、不動産の登記に関わる国家資格者ですが、弁護士の人手不足を補うため法務省の認定を受けると認定司法書士として一定の範囲で紛争解決業務をあつかうことができます。
借金返済に関する法律相談
借金返済で土地を売る場合には、司法書士でも相談は可能です。
借金の整理には、「任意整理」、「個人民事再生」、「特定調停」、「自己破産」といった様々な手法があります。
いきなり土地を売るのではなく、どのような借金整理の方法が自分に適しているのか知ることが重要です。
場合によっては、土地を売らなくても良いかもしれません。
司法書士に対しては、自分に合った借金の整理方法について相談することが可能です。
司法書士に相談するメリットと費用
司法書士に相談するメリットとしては、相談料が弁護士と比較して安いという点です。
司法書士へ相談するなら、「法テラス」がおススメです。
法テラスは国が行っている法律の無料相談サービスです。
相談員は司法書士が中心ですが、弁護士や消費者団体も相談者になることもあります。
法テラスでは、離婚や相続の問題も相談にのってくれますので、弁護士への相談料を払いたくない人は、まずは法テラスに相談してみるのも一つです。
法テラスは、最初に電話で応対してくれる人が心優しく対応してくれますので、借金返済で困っている方はぜひ相談してみてください。
土地売却に関する境界の相談は土地家屋調査士
この章では、土地家屋調査士への相談について解説します。
土地家屋調査士とは、土地の正確な広さを測量してくれる専門家です。
相続した土地などは、広さが明確でない場合もよくあります。
土地を売却する際に重要な「お隣さんとの境界」についても調整をしてくれます。
境界に関するする相談
土地の売却では売主に境界明示の義務があります。
「境界が確定していない」または「境界に争いがある」等の相談については土地家屋調査士に相談することが必要です。
測量をしたいといった相談であれば、まずは測量会社に見積を取ります。
測量会社には通常、土地家屋調査士が在籍していますので、測量会社に見積を依頼すれば土地家屋調査士が無料で対応してくれます。
一方で、隣地との境界争いがある等の深刻な問題がある場合には、「土地家屋調査士会ADR」があります。
土地家屋調査士会ADRは、裁判を行わずに土地家屋調査士と弁護士が早期に境界問題全般を解決してくれる制度です。
土地家屋調査士に相談するメリットと費用
ここでは、土地家屋調査士会ADRを中心に解説します。
土地家屋調査士会ADRを使えば、低価格で早期に境界問題を解決できるというメリットがあります。
通常、所有権確認訴訟のような裁判を行ってしまうと、解決まで何年もかかってしまいます。
ところが、土地家屋調査士会ADRであれば、半年程度で問題を解決することが可能です。
土地家屋調査士会ADRの費用は、申立て費用が2万円、調査費用が3万円です。
その他、問題が解決すると成功報酬が生じます。
成功報酬は、紛争の解決額が250万円以内なら一律20万円となっています。
相談については、各都道府県の境界問題相談センターにて受け付けています。
相談料は、各都道府県によって異なりますが、概ね2万円が一般的です。
土地売却に関する関連会社間取引の相談は不動産鑑定士
この章では、不動産鑑定士への相談について解説します。
不動産鑑定士という職業を聞いたことありますか?
あまり馴染みがない資格ですが、超難関ともいえる国家資格を通った人だけができる職業です。
職務内容として土地や建物を正確に査定してくれる専門家です。
関連会社取引に関する相談
土地の売却では、「親会社から子会社」や「社長から会社」へ土地を売るようなケースがあります。
このような関係会社間、代表者と会社間のような価格操作が可能な当事者間で不動産取引を行う場合には、不動産鑑定士による鑑定評価が必要です。
例えば、中小企業では、会社が非常に儲かったとき、会社が持っている土地を大きな損を出して社長に安く売れば、その会社は節税することができます。
しかしながら、このように恣意的に価格を付けて取引する行為は脱税にあたります。
一方で、関係会社間等の取引でも適正な価格と証明できる金額で取引すれば脱税行為には該当しません。
この適正な価格の証明に必要なのが不動産鑑定士による鑑定評価です。
不動産鑑定士に相談するメリットと費用
不動産鑑定士による鑑定評価を取って取引すると、後で税務調査が入ったときに適正な価格の取引であることを立証できるメリットがあります。
残念ながら、不動産会社による無料査定では適正な価格の証明にはなりません。
不動産鑑定士による鑑定評価も、不動産会社による無料査定も答えは同じなのですが、税務署は不動産鑑定士による鑑定評価なら信用するというスタンスを取っています。
不動産鑑定士による鑑定評価には、鑑定評価基準と呼ばれる厳密なルールがあり、やたらな価格を出せない仕組みとなっているからです。
鑑定評価の費用は、鑑定評価額によって異なります。
鑑定評価額が2,000万円程度の土地なら20万円、5億円程度の土地になると80万円程度です。
不動産会社に相談できること
これまでは、土地の売却で相談した方がいい専門家である士業について解説してきました。
土地売却というと不動産会社に相談するイメージになりますが、不動産会社は税金や法律の専門家ではないことを、ご理解いただけたと思います。
では、不動産会社にはどのようなことが相談できるのか、事前に相談できる内容について、この章では解説していきます。
不動産会社に相談できること1.売却価格
土地の売却価格なら不動産会社に相談可能です。
不動産会社は普段から土地取引に携わっていますので、どのような土地がいくらくらいで売れそうなのかを最も熟知しています。
「いくらで売れそうか?」という相談なら、不動産会社は無料で査定してくれます。
価格について相談するなら、不動産一括査定サイトが便利です。
不動産一括査定サイトなら、複数の不動産会社から査定価格を取ることができます。
査定価格とは、3ヶ月程度で売却できる価格のことですが、不動産会社の一つの意見に過ぎないため、価格は1社だけに聞くのではなく複数社に確認すべきです。
売却価格を知りたいという相談であれば、不動産一括査定サイトが最も効率的ですので、相談の際にはぜひ使ってみてください。
不動産会社に相談できること2.売却方法
不動産会社には、売却方法の相談も可能です。
土地の売却方法には、大きく分けて仲介と買取の2種類があります。
仲介とは、不動産会社か買主を見つけてくる売却方法です。
買取とは、転売を目的とした不動産会社に売る売却方法となります。
買取は、仲介の売却よりも価格が安くなりますが、すぐに売却できるといったメリットがあります。
例えば「今すぐ土地を売らなければいけない」といった相談なら、不動産会社は買取といった売却方法の回答をしてくれます。
しかしながら買取の場合、仲介の時と比べた不動産買取金額の相場は70~80%になります。
その他、「古家を取り壊さずに売りたい」、「借地権のついている底地だけを売りたい」といった特殊な売却方法についても不動産会社に相談することができます。
不動産会社に相談できること3.活用方法
不動産会社なら土地の活用方法も相談することができます。
売るか、貸すか、迷っている段階で、「例えば駐車場で貸したらいくらか?」みたいな相談をすることも可能です。
つまり「売却しようかどうか迷っている、何か良いアイディアはないか?」みたいなレベルでも相談にのってもらえます。
また、例えば「三角形の小さな土地」みたいな活用が難しい土地であっても、どうしたら良いかという相談もすることが可能です。
不動産会社に相談するメリットは、不動産会社への相談料は基本的に無料という点です。
不動産会社は、受領できる仲介手数料が成功報酬と定められています。
「売却が決まった」、または「借主が決まった」という段階になってはじめて報酬の請求権が発生します。
そのため、買主や借主が決まる前の相談段階では相談料を請求することができず、結果的に相談料は無料となっています。
信頼できる不動産会社を探すことがもっと大事
土地を売却する上で一番大事なこと。
そう、それは「信頼できる不動産会社を見つけること」です。
不動産は人生で一番大きな資産であるため、良い不動産会社に当たるかどうかで数百万、場合によっては数千万円と変わることがザラにあります。
ただ、自分で近くの不動産会社を探し回るのも面倒だし、効率的ではありません。
そこで筆者がおすすめしているのが、「不動産一括査定サイト」を利用することです。
不動産一括査定サイト(サービス)を利用すると、あなたの売りたいと思っている不動産情報と個人情報を入れるだけで、適切な不動産会社を自動的にマッチングし、複数の不動産会社へ一度に査定依頼が行えます。
不動産一括査定を選ぶ3つの基準とオススメの使い方
筆者が考える不動産一括査定のオススメランキングをお伝えします。
不動産一括査定も様々ありますが、やはり家やマンション、土地は高額になりますので、より得意としている会社を見つけたいですよね。
サイトを選ぶ基準としては下記3つ。
不動産一括査定を選ぶときの3つの基準
- 大手不動産会社に最低でも1社は査定が行えること
- 中堅や地域密着の不動産会社にも査定が行えること
- 不動産一括査定の運営会社がしっかりしていること
ポイントは、大手から地域密着の不動産会社まで幅広く依頼をすること。
大手は取引実績が豊富な分、やっぱり売却力があります。
ただし、お客さんをたくさん抱えているため、仕事のやり方がマニュアル通りといった感じ。
逆に中堅や中小・地域密着の不動産会社は社長自らが対応してくれたりします。
不動産一括査定を1つだけ使っても、大手不動産会社が見つからなかったり、逆に大手のみしか依頼できない場合が多々あります。
筆者としては、不動産は高額商品になるので、時間が掛かっても複数の不動産一括査定を使って、大手、中堅、地域密着の不動産会社それぞれに依頼することをオススメしています。
【結論】不動産一括査定のかしこい使い方
東京・神奈川・千葉・埼玉・大阪・兵庫・京都・奈良の方は3サイトを併用する県庁所在地などの人口が多い都市は2サイトを併用する
地方や田舎などの人口が少ない市町村は3サイトを併用する
収益・投資用物件に強い会社が多数見つかる3サイトを併用する
まとめ
以上、土地を売却する際に相談できる専門家について紹介してきましたが、いかがだったでしょうか?
土地売却に携わる専門家は、不動産業者以外にたくさんいることを理解いただけたと思います。
不動産会社に相談できることには、「売却価格」や「売却方法」、「活用方法」があります。
不動産会社以外では、「税理士」や「弁護士」、「司法書士」、「土地家屋調査士」、「不動産鑑定士」といった士業も存在します。
自分のケースに当てはまる場合には、各士業への相談も有効に活用しながら土地売却を進めていきましょう。
土地を売却する際、今回紹介した知識をぜひ思い出してみてください。